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神社AtoZ

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 近年、神社の様式やバリエーションも様々だが、標準的な「かたち」として、右の模式図を示しておく。また、おおよそ信仰系列ごとに定まっている建築様式や鳥居の形も注目してみると、よりいっそう神社の魅力が伝わりやすいのではないかと愚考する。​…ということで、ここでは目に見える神社の個性や特徴について紹介する。

 「不思議」は近寄り難いかも知れないが、「理解」していれば親しみもわくものであろう。魅力的な神社への理解がより一層深まっていただければ倖いである。

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駐車場

鳥居のバリエーション

 普段何気なくクグッている鳥居にも様々な形がある。多くの方々は、鳥居をクグるときは礼をしていると思うので、まじまじと見ることは意外と少ないのではないかと思われる。ここでは代表的なものを紹介しておく。

八幡鳥居

素木鳥居

厳島鳥居

靖国鳥居

山王鳥居

伊勢鳥居

鹿島鳥居

両部鳥居

中山鳥居

内宮源鳥居

春日鳥居

名神鳥居

黒木鳥居

三輪鳥居

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ちょっと変わった鳥居の数々。二本の柱に棒を渡しただけのもの、または注連縄〔しめなわ〕をかけたもの、注連縄すらないものもある。​これらもすべて、神聖な神の領域との境目を示す役割を果たしていることにおいては、それぞれ立派な鳥居である。「トリイ」とはアムラ語(ヘブライ語の方言)で「門」や「玄関」の意味という説もある。

標準的な神社の模式図

一の鳥居 石段

二の鳥居

神門(楼門) 手水舎

参道

⑦⑧境内社 神池

神橋

狛犬 拝殿

幣殿 本殿

絵馬掛 神楽殿

納札所 石燈籠

社務所

神木

神社のおもな建築様式

 日本固有の建築文化としても世界中から注目されている神社。本殿の建築様式は大きく分けて「平入形式」と「妻入形式」があり、特徴的な屋根の形状によってさらに分類できる。概ね「八幡造り」や「春日造り」など信仰により​定形があるようだ。いずれも、その美しさには目を見張るものがある。

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神明造(伊雑宮)

入母屋造(御上神社)

流造(賀茂別雷神社)

両流造(厳島神社)

八幡造(宇佐神宮)

山王造(日吉大社)

祇園造(八坂神社)

近江造(近江神宮)

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春日造(春日大社)

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比翼春日造(平野神社)

住吉造(住吉大社)

大社造(出雲大社)

最古の大社造(神魂神社)

大鳥造(大鳥大社)

熊野造(熊野本宮大社)

中山造(中山神社)

神社に仕える神職とは…

 神社に仕える人々を「神職〔しんしょく〕」という。以前よく用いられた「神主〔かんぬし〕」という呼び名は、本来神職の長を指していたが現在では神職と同じ意味で使われている。

 「神官」は、本来祭祀を専門に司る職業のことで、戦前は伊勢神宮の「神宮司庁」の祠職のみが呼ばれた。

 戦後の現憲法施行下では、祭政の分離がなされており、厳密な意味での神官は存在しない。

 江戸時代までは物忌〔ものいみ〕(伊勢神宮、鹿島神宮)、忌子〔いみこ〕(賀茂神社)などの名で女性の神職も存在したがその後存在しなくなり、戦後の男女同権思想によって復活した。現在は巫女〔みこ〕、神子〔みこ〕、舞姫〔まいひめ〕などと呼ばれる。

 神職には、神社本庁が定めた(階位検定及び授与に関する規程)以下の5つの階位区分がある。明階までは所

定の研修を受けることにより昇進が可能である。階位の名称は神道で徳目とする「浄明正直」(浄く明く正しく直く)から取られたものであるという。

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 また、階位区分とは別に、特級、一級〜四級の身分の区分(神職身分に関する規程)が存在し、神宮大宮司は特級、神宮少宮司は一級、神宮禰宜、別表神社の宮司は二級上または二級などと定められている。

 身分の区分によって正装が以下のように異なる。

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※「Wikipedia」より。
※「都道府県別統計とランキングで見る県民性
 より。データは2016年。
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都道府県別神社の数

 全国の神社総数は81,067社(登録されているもののみ)。山中や海辺の小さな祠のような神社も含めると、おそらく倍以上の数になるといわれる。

 各都道府県ごとの人口当たりの神社数と総数は次の通り。は総数のベスト5。

​ 京都、奈良が総数のベスト5に入っていないのが意外な気がするが、あまり神仏のイメージのない新潟、兵庫、福岡などが多いというのも意外といえば意外?!

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神の使い、眷属〔けんぞく〕

 神社には神の使いである「眷属」がいる。多くの場合、祭神と関係の深い動物や想像上の動物である。 中には動物の姿を持つ別の存在や別の神であることもあり、神使や霊獣とも呼ばれる。

 おもな神社の眷属は右の通り。ちなみに犬には狛犬も含まれている。

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▼護王神社(京都)は珍しいコマ猪(!?)

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神社の御印「神紋(しんもん)」

 「神紋」は、神社で用いられる固有の紋。 家紋と区別するため神紋と呼ばれるが、どちらも平安時代に都から使われ始め、鎌倉時代には全国に広く普及した。神紋から家紋が派生したり、逆に神社が家紋を取り入れたりすることもあったので共通の紋も多い。

 代表的なものや一風変わったものを集めてみた。なお神紋は一つとは限らず、複数制定している神社も少なくない。

​ また、皇室の家紋である菊花紋のように、多くの神社が取り入れている神紋もある。

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神社参拝のマナーについて

 ときに、拝殿に事細かく図解入りでマナーを啓発する張り紙を掲示している神社もあるが、個人的には少々疑問に思う。上から的に押しつけるのはどうなのかと。

 参拝時、二拍のパンパンの後10秒〜数10秒も合掌を解かず、お祈りしている人を見受けることがよくある。

 そのうちお経を唱えはじめるのではないかとハラハラすることも…。その方は仏前と混同しているのかも知れないが、神前まで足を運びお賽銭をして祈る姿、時間をかけて神との対話を試みる心には、いささかも非礼はないと思う。神が無作法を責めるとも思えない。

 人として常識的な最低限のカタチさえ理解しておけばいいのではないかと…。なぜなら、あくまで参拝するのは御心であり物質的な肉体ではないのだから。

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 …とは言っても、むろん参拝のマナーは知らないより知っている方が良いに決まっている。また、知りたいと願う人のためにも一応、軽くふれておく。

①境内へ入る

 神社にはいくつもの入口がある場合が多く、ナビ頼りで歩いて行くと、ときに鳥居も手水舎も通ることなくいきなり拝殿に行き着いてしまうことが良くある。

 そんな場合でも可能な限り、面倒臭がらず正面入口にまわり直し、一つずつすべての鳥居をくぐって境内に入るよう心がけたい。

 鳥居の奥は神域、くぐる前に一旦立ち止まり一揖〔いちゆう〕(軽い礼)することを忘れずに。

 参道の中央は神様の通り道なので、少し避けて端を歩くよう心がける。

②お清め

 参拝の前には必ず手水舎〔ちょうずや〕で身を清めなくてはならない。

 手水舎には水と柄杓〔ひしゃく〕が用意されているはずなので、伊弉諾尊のごとく身を清める。

 まず、柄杓で水をすくい左右の手を交互に洗い流す(ゴシゴシ洗う必要はナシ、あくまで軽く)。次に柄杓で汲んだ水を片方の掌に溜め口に運び漱ぐ(決して直接口を付けない)。清らかな湧き水などを使用している神社

が多いが、ときに循環水や溜まり水を使っている神社もあるので決して飲まないこと。

 最後にもう一度水を汲み、柄杓を立てて水を伝わらせ自分が握った柄の部分を洗い流す。そして柄杓は必ず元あった場所に戻す。

③参拝

 拝殿に進んだら、お賽銭の前に軽く一揖。 次に鈴から垂れた紐があればそれを振って打ち鳴らし、賽銭箱に静かに納める。

 参拝の儀は、基本的に「二拝二拍一拝」。二度深く拝(最も深い礼)して、神に捧げるようゆっくり二度拍手、そして最後にさらに深い拝礼(お祈りや願いごとは最後の拝の際に時間をかけてしっかり込める)。

 拝殿を降りたら、さらに軽く一揖して踵を返す。

出雲大社は例外で、「二拝四拍手一拝(厳密には一拝一祈念四拍手一拝)。さらに心で「幸魂奇魂守給幸給〔さきみたま くしみたま まもりたまひ さきはへたまへ〕」の祝詞を捧げる(声は出さない)。

④帰る

 来たときと同様に参道の端を歩き、鳥居をくぐるたびに立ち止まり本殿に向かって一揖(軽い礼)。

 神社では正式参拝や祈祷など様々な神事があるが、通常のごく一般的な参拝は①〜④を踏まえておけば礼を失するようなことはないはずである。

▲手水舎〔ちょうずや〕。希に鳥(カラス?)避けのネットが被せてある所があるので、その場合は使用後に元に戻すことを忘れずに。
引用元・参考文献▶『神道とは何か』伊藤聡(中公新書)/『宗教年鑑』文化庁編/『古事記とは何か―稗田阿礼はかく語りき』長部日出雄(集英社文庫)/『古事記完全講義』竹田 恒泰(学研)/『古事記完全講義』竹田恒泰(学研パブリッシング) /『古事記を読みなおす』 三浦 佑之(ちくま新書)/ 『神社で読み解く日本史の謎』河合 敦 (PHP文庫) /『嫁いでみてわかった! 神社のひみつ』 岡田桃子(祥伝社黄金文庫) /『日本人として知っておきたい 神道と神社の秘密』神道と神社の歴史研究会編(彩図社)/Wikipedia/全国神社のHP/全国の神社で入手したパンフレット等/他
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